Miyake.Labo主宰の三宅です。
遅ればせながら新著「なぜ人工知能は人と会話ができるのか」と、その発売記念イベントの内容を紹介する記事をMiyake.Labo内に作ることにしました。
お手伝いいただいたライターの方に聞き手になってもらいインタビュー形式でお届けします。

なぜ人工知能は人と会話ができるのか (マイナビ新書)
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――「なぜ人工知能は人と会話できるのか」は、どのような経緯で出版されることになったのでしょうか?
 現在、社会の中で「会話をする人工知能」に対する需要と期待が高まっています。エンターテイメント産業は特にそうです。さまざまな実例が出ており、まずその流れを「会話エージェント」という視点でまとめたいと思いました。

 この分野は多くの優秀な方々が関わっており、会話をする人工知能で世の中を面白くするという志を持っています。今回もたくさんのご協力を頂きました。

 ところが自然言語処理は、専門性の極めて高い分野である上に、特にゲーム産業でこの分野はかなり演出に依存して来た歴史があります。とはいえ、それが明確な技術とは言えなくても、ゲーム開発の中で20年以上に渡って蓄積されて来た作成テクニックがあります。

 今回、最新の会話エージェントの技術とこれまでの歴史をまとめるとともに、このようなエンターテイメントならではの会話技術の歴史を同時にまとめておきたかったのです。これから本格的に会話技術が導入される前に、これまでの会話技術、エージェント技術をまとめておくことは、花開きつつあるこの分野をこれから志す多くの方々に役立つと思いました。

――三宅さんはこれまで何冊も人工知能に関する本を書かれていますが、今回の「なぜ人工知能は人と会話ができるのか」で特に力を入れた点はありますか?

 会話といっても理解、思考、発話と幅広い分野です。浅い理解のものから深い理解の会話エージェント、エンターテイメントから実用までさまざまです。

 今回、特にゲーム産業内、エンターテイメント分野における実例を丁寧に拾い上げて行きました。もちろん全部とは言えませんが、それによってこの分野の広がりと未来への可能性を示したかったのです。

 また技術に関しては、学術の中で発展した本格的な技術と、エンターテイメントで使われる演出的な技術の双方を列挙するように心掛けました。この分野では幅広いアプローチがあることを知っておいて貰いたかったのです。会話エージェントは総合技術ですので、一つのアプローチだけにこだわる必要はないのです。

――第3章<人間と話すキャラクターたち>では、ファミリーコンピュータ時代の簡素な対話ができるゲームから、「アバターエージェントサービス」「罵倒少女:素子」「ゲートボックス」といったごく最近の事例まで紹介されています。様々な事例の中で、2000年に発売された架空な生物と会話できるドリームキャスト用ゲーム「シーマン」は第2章<会話のための人工知能技術>でわざわざ紹介しています。それだけ「シーマン」の会話システムは人工知能開発史において画期的だったのでしょうか?

 「シーマン」は人工知能の歴史においても、エンターテイメントの歴史においても重要です。

 まず「シーマン」は音声を通じて人工知能と会話するという原体験を多くの人々に与えました。次に、会話の自然さが卓越していました。

 それは、本書に掲載した「シーマン」の作者・斎藤由多加さんのインタビューにもあるように、人工知能技術と演出的なテクニックの融合でありました。その結果、エンターテイメント産業とアカデミックの双方に展望とインスピレーションを与えることになったのです。

――「シーマン」の話題だけでなく、第2章<会話のための人工知能技術>では人工知能が人と会話するために外部世界から情報を得る「入力」の仕組みと、収集した情報をもとに回答を作る「処理」の仕組みについても、とても分かりやすく網羅的に紹介されていると感じました。

 ありがとうございます。人工知能の会話は、さまざまな技術を結集する総合格闘技のようなものだと言われています。できるだけ多くの技術を短い文章で説明しました。本当は詳しい説明を書いていたのですが、編集の都合であまりに詳細については割愛してしまったので、興味の出た技術はぜひ調べてみてください。そういう意味では、今回は会話技術の目録が載っていると感じて頂ければよいなと思っています。

――最後に、この本をどのように役立てて欲しいでしょうか?

 人工知能は現在、過剰に賢く書かれたり、過小に評価されたり、その上で人を過信させたり、不安にさせたりしています。

 僕が伝えたいと思うものは等身大の人工知能の姿です。確かにそれを伝えることはとても難しいのですが、話す人工知能は最も身近な人工知能です。話すという文化的行為の対象として人工知能の本当の姿をつかんで欲しいと思います。

 最後に大切なことが一つあって、「人やキャラクターの姿をして会話する人工知能」という分野は、日本が世界で圧倒的なリードを持てる数少ない人工知能の分野です。本書の第3章でも触れたとおり、日本にはキャラクターを生命とみなす寛容な文化的土壌があります。これはアジア特有の感覚でもあります。その土壌と人工知能が融合する時に、真に大きな人工知能の可能性が拓きます。その可能性の萌芽を見せてくれた実例をたくさん本書では解説しています。

 本書が、キャラクター文化と人工知能を融合させ、新しいキャラクターと新しい人工知能を拓きたいと望むすべての人たちのための旗印となれば幸いです。

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